戦闘システム#
「おかえりなさい、良き狩人よ。あなたは何を望むのですか?」 (Welcome home, good hunter. What is it you desire?) —— ゲールマン (Gehrman)
Bloodborne (ブラッドボーン) の戦闘は Dark Souls とは正反対の道を歩いています。ここには盾がない。身構えてやり過ごす選択肢が存在しない。そして「攻撃」がそのまま仕組みに組み込まれています。被弾しても撃ち返せば体力を取り戻せます。銃は相手の攻撃の瞬間に撃てば体制を崩せます。武器はひねるだけで別の動きに変わる。この三つが組み合わさることで、ヤーンムでの狩りにはソウルズシリーズの他作にはない圧が生まれています。
本ページが扱うのは三つだけです。ラリー (Rally) が本作の核と呼ばれる理由、銃パリィと内蔵攻撃が処刑の循環をどう組むか、そして変形攻撃が戦い全体をどう繋ぐかです。仕組みはいずれもゲーム中の挙動にもとづく説明にとどめています。ネットに流通するダメージ倍率表、無敵コマ数表、コンボ加点率の表には公式の裏付けがないため、本ページでは一切採用しません。実戦で自分で確かめられる判断基準だけを示します。
ラリー (Rally):攻撃こそ防御#
仕組みの基準#
被弾した瞬間、失った体力は即座に消えるのではありません。体力ゲートの末尾に橙色の一部として暫く残り、短い時間かけて徐々に失われていきます。これが消えきる前に撃ち続ければ、失った分のかなり大きな部分を回収できます。ヒットを重ねるほど回収量は積み上がります。これがラリー (Rally) です。本作全体のリスクとリターンの設計の核になっています。
必ず覚えておく境界が二つあります。
- 橙色の体力は時間の経過とともにただ消えていく。待てば待つほど回収できる量は減り、戦闘から離れてしまえばほぼ諦めたのと同じです。
- もう一度被弾すれば完全に消える。橙色の分を抱えたまま二撃目をもらえば、損は二重になります。
実戦の要点#
- 回復より先に撃ち返す。被弾後の第一手は転がって血の瓶に逃げることではありません。敵の連続攻撃が終わったかどうかを見ることです。終わっていたら詰め寄って撃ち合いに持ち込み、回収した体力で血の瓶の消費を浮かせます。
- 相手を選ぶ。動きが遅く、攻撃の後の隙が長い敵ほど好対象です。素早く動く小型の敵に無理に反撃を仕掛ければ、もう一撃もらうのと同じになります。
- 囲まれたら抜けてから。囲まれている状態では橙色の体力はむしろ最も危険です。撃ちつつ撃ち抜かれ続けることになるためです。まずは転がって囲いから抜け、最も弱い相手から体力を取り戻しに行きます。
- 大型の敵ほど見返りが大きい。大型の敵は動作が大きく大振りです。溜め攻撃の一発で橙色の分を大量に回収できることがよくあります。巨大な敵に接近して戦えるのは、この仕組みが支えています。
Dark Souls 育ちの習慣との衝突#
Dark Souls から来たプレイヤーは反射的に「被弾 → 後退 → 回復」と動きます。ヤーンムではラリーがこの習慣に容赦なしっぺ返しをくれます。飲んだ血の瓶は一本ごとに、本来は撃ち返して取り戻せたかもしれない分なのです。考え方としては、被弾を一回の高利貸しの借金とみなしてください。橙色の分が請求書で、撃ち返しが返済の窓口、引っ張るほど利息が膨らみます。
攻撃動作とスタミナ管理#
基本動作#
| 動作 | 操作 | 位置づけと用途 |
|---|---|---|
| 通常攻撃 | R1 | 主力の出力。出が早くスタミナ消費が小さく、繋がりが自然 |
| 溜め攻撃 | R2 押しっぱなし | 火力は高いが出は遅い。一部の敵は怯ませて崩せ、内蔵攻撃の入口にもなる |
| 走り攻撃 | 走行中に R1 または R2 | 前へ出る距離が自動で付き、間合い詰めと先取りに使う |
| 背面突き | 気付いていない敵の背後から溜め攻撃 | 処刑動作が発生します。詳細は内蔵攻撃の項を参照 |
| 変形攻撃 | L1 | 形態の切り替えと同時に攻撃。詳細は変形攻撃の項を参照 |
スタミナ管理#
攻撃・転がり・走行はいずれもスタミナを消費し、使い切るとキャラクターは短い間硬直します。ヤーンムでは、硬直したハンターは死体とほとんど変わりません。
| 動作 | 消費度 | 備考 |
|---|---|---|
| 通常攻撃 | 低 | 連続攻撃の主力。一段なら安心して打ち切れる |
| 溜め攻撃 | 高 | 出す前に、このスタミナを払う価値があるか確認する |
| 転がり | 中 | 命を守る資源。転がりの分まで枯らさない |
| 走行 | 持続消費 | 移動用。戦闘中にむやみに走り回らない |
| 銃撃 | スタミナ消費なし | 水銀の弾丸 (Quicksilver Bullets) の消費に置き換わる |
鉄則は三つです。
- スタミナを一手分残す。どんな瞬間でも使い切りをしない。転がりに必要な最後の一手を必ず残すこと。
- 連続攻撃は一段で抜ける。通常攻撃は二・三発で十分。攻撃後の硬直は敵の反撃にとって最良の時間です。
- スタミナが空なら欲張らない。敵に二歩多く歩かせることになっても、転がれない状態では攻撃しない。
銃パリィ:銃を盾として使う#
原理#
本作で銃は火力の手段ではありません。「崩す」ための鍵です。敵の攻撃動作が命中する直前に撃ち当てれば、それを止めて怯ませ、膝をつかせ (人型の敵)、大きな隙を晒させることができます。この瞬間に接近して R1 を押せば内蔵攻撃が発動します。盾のない本作、銃こそがあなたの盾です。しかもこちらに回れば相手を処刑できる盾です。
タイミングの基準#
- 武器を構える敵の多くでは、銃パリィの狙いどころは攻撃が振り下ろされる直前、腕が一番高く上がった前後の一瞬です。早めに構えて撃つと早く過ぎ、命中してから撃ち足すのは遅過ぎます。
- 敵によって攻撃の間隔は大きく異なり、万能なタイミング数値はありません。稽古先はヤーンム中央の市民です。繰り返し試してから、ガスコイン神父 (Father Gascoigne) を最終関門にするとよい。あの戦いそのものが公式から渡される銃パリィの教えです。
- 映像より音で取った方が確実です。多くの敵は重い攻撃の前にはっきりした咆哮かチャージ音を伴います。
銃の選び方#
| 銃 | 特徴 | 適性 |
|---|---|---|
| ハンターピストル系の拳銃 | 単発の命中率と射程に優れる | 中距離の精密射撃、堅実派のハンター |
| 獣狩りの散弾銃系の散弾銃 | 近距離で弾が広範囲に散り撃ちやすい | 初心者の銃パリィ稽古、組み合い |
| エヴリン (Evelyn) | 血質への補正が良好 | 血質ビルドの片手 |
| キャノン砲やガトリング銃など重火器 | 受け用ではなく火力寄り | 遊びビルドと特定のボス戦 |
銃パリィが効く敵・効かない敵#
すべての攻撃を銃で止められるわけではありません。基準は素朴です。武器を持ち、直立し、動作が人型に近い敵はほぼ銃パリィできます — ヤーンム市民、教会の工作員、ハンター型の相手、一部の人型ボスはいずれもここに入ります。獣系の敵や大型の敵の多くは銃を受け付けません。これらの相手には溜め攻撃で崩しを作るか、きっぱり背中を取って背面突きの側に回りましょう。分類の詳細は敵図鑑の側に記載しています。
弾丸管理と血による弾丸回収#
- 銃撃は水銀の弾丸を消費し、所持できる数は有限です。乱射を繰り返せばすぐ底を突きます。
- 弾が足りないときは、左右スティック同時押し (L3+R3) で体力を少量犠牲にして数発の弾を買えます。俗称は血による弾丸回収です。これは血質ビルドの遠距離消耗における中核の循環で、体力を弾に、弾を怯みに、怯みを内蔵攻撃に変えて回します。
- 銃パリィ自体が弾を 1 発消費しますが、続く内蔵攻撃で追加の弾は不要です。成功した銃パリィは常に割に合う買い物です。
内蔵攻撃 (Visceral Attack)#
入口は三本#
内蔵攻撃は本作でもっとも華やかな一撃です。入口は次の三つです。
- 銃パリィからの処刑:銃パリィで敵を怯ませて膝をつかせ、近づいて R1。
- 溜め攻撃での崩し:溜め攻撃で一部の敵をよろめかせ、近づいて R1。銃を受け付けない大型の敵に対しては、こちらが主となります。
- 背面突きからの処刑:背後に回り、気付いていない敵に溜め攻撃を当てると発生します。忍び寄りと背中を取るタイミングは敵図鑑、および各ボス攻略ページの解説を参照してください。
威力の伸び方#
- 内蔵攻撃の威力は手持ちの武器の攻撃力にほぼ準拠します。ステータスの数字に縛られるより、まず武器をきちんと強化する方が処刑の見返りを引き上げます。強化の方向性は武器図鑑を参照してください。
- 相手の体格と種類が見返りの上限を決めます。怯んだ精鋭の敵や大型の相手に対する内蔵攻撃の見返りは、通常攻撃よりずっと大きくなります。
- ネットに流通する「技巧 (Skill) の 1 ポイントにつき何%加算という表」に公式の出典はありません。鵜呑みにせず、ゲーム中の実際の数値を基準にしてください。
ルーンとの連動#
内蔵攻撃はルーン (ルーンシステム) と強い縁を二つ持ちます。「血の歓喜 (Blood Rapture)」系は内蔵攻撃で追加の体力を回復させ、「オドンの身悶え (Oedon Writhe)」系は内蔵攻撃で水銀の弾丸を回復させます。前者は組み合う狩りに体力の線をもう一本渡し、後者は処刑そのものを弾の補充に変えます。血による弾丸回収と合わせれば、弾切れをほぼ気にしなくてよい処刑の循環が成立します。
処刑の手順#
敵の構えを見る → 銃パリィ命中 → 敵が怯んで膝をつく → 近づいて R1 → 内蔵攻撃 → 転がって距離を取り直す変形攻撃:トリック武器の繋ぎ役#
本作の近接武器はトリック武器 (Trick Weapon) であり、それぞれがまったく違う二つの形態を持っていて、L1 で切り替えます。そして攻撃の最中に L1 を押して出す変形攻撃こそ、このシステムの核です。変形攻撃は威力のある動作であると同時に、連続攻撃の繋ぎ役でもあります。
三大用途#
- 攻撃後の隙を消す。通常攻撃の後は最も危険な時間帯です。変形攻撃を繋ぐとこの危険域を飛ばせます。
- 攻撃範囲を書き換える。変形動作は前へ出たり広い範囲を払うものが多く、通常攻撃の届かない距離でもう一度圧を取り直せます。
- 圧をかけ続ける。変形攻撃は連続攻撃を途切れさせません。撃ち続けることこそがラリーと獣性 (Beasthood) の最も好むリズムです。
代表武器の変形の癖#
| 武器 | 形態の切り替え | 変形攻撃の特徴 |
|---|---|---|
| 獣狩りの斧 (Hunter Axe) | 片手斧 ↔ 長斧 | 長斧形態の溜め旋回は序盤の大群戦で最も強い圧になる |
| 獣狩りの鉈 (Saw Cleaver) | 短刀 ↔ 長柄鉈 | 変形の斬り下ろしは前へ出、鋸の刃は獣系の敵に強いとされてきた |
| 獣狩りの槍 (Saw Spear) | 短刀 ↔ 長槍 | 突き出す長さが段違い。間合い管理を重視する立ち回りへ |
| 仕込み杖 (Threaded Cane) | 杖 ↔ 鞭 | 鞭形態は範囲が広く、抑えと消耗の名手 |
| 慈悲の刃 (Blade of Mercy) | 短剣 ↔ 二丁短剣 | 変形が早く攻撃速度が最高クラス。操作は要るが上限は高い |
| ルドヴィグの聖剣 (Ludwig’s Holy Blade) | 直剣 ↔ 大剣 | 大剣形態の変形一薙ぎは範囲が圧巻。力ビルドへの答え |
武器ごとの完全なデータと強化の道筋は武器図鑑 (武器図鑑) を参照してください。ネットに流通する「変形攻撃は固定倍率を持つ」という表にも公式の出典はなく、実際の数値はゲーム中の挙動を基準にしてください。
獣性と撃ち続けること#
ここで広く流れている誤りを一つ正しておきます。本作には「攻撃を重ねるとカウントが溜まり、段位に応じて威力が上がる」という隠れた計算方法がありません。よく語られる加点率の表の出典も一切ありません。本当に撃ち続けることを促している仕組みは次の二つです。
- ラリー:上で解いた通り、被弾後の橙色の体力は撃って回収します。
- 獣性 (Beasthood):防具一品ごとに獣性の上限が備わり、ヒットを続けると獣性の値が積み上がり、高いほど物理威力の補正がはっきりします。ただし時間とともに失せていきます。消耗品の獣血の丸薬 (Beast Blood Pellet) を併用すればこの仕組みは振り切れるところまで行きます — 代償として、効果中は血の瓶の回復が目に見えて落ちます。使う前に引く準備を考えておいてください。
二つの仕組みはいずれも同じ所を指しています。ヤーンムでは立ち止った者が先に死ぬ。撃ち続けるのは趣味ではなく、ダメージの作りそのものです。上限火力を狙い切る組み立てはビルド (ビルド) に書いています。
回避と立ち位置#
転がりの基準#
Bloodborne の転がりは短く、復帰は速く、向きは左スティックで決めます。
- 横への転がりが既定の答えです。多くの真っ直ぐな突きと薙ぎ払いは横へ逃げてかわせます。
- 前への転がりは敵の攻撃の軌道を抜け切って、そのまま背後に付くために使います。背面突きの機会はこの転がりから生まれます。
- 後ろへの転がりが最も危険です。本作の転がりは距離がやや短く、後ろへ下がっても敵の攻撃範囲に収まることがよくあります。横へ転がせるなら後ろへは転がらない。
「無い」仕組みの切り分け#
ネットでよく流れる二つの噂を片付けておきます。
- 本作に装備の重さは無い。一定割合を下回れば転がりが軽くなる、という仕組みは存在しません。どんな防具を付けても転がりは変わらず、道具選びは耐性で見てください。
- 空中回避は無い。同様に、「転がりの無敵コマ数表」のような精密な数値データにも公式の出典がありません。転がりの手触りの差は実戦で体感してください。
実戦のリズム#
攻撃の循環#
敵の構えを見る → 接近する → 通常攻撃を二・三発 → 見て変形攻撃で締める → 転がって離れる → 次の反撃の機会を探す身構えてから撃ち返す側は、循環の真ん中に銃パリィを置きます:
中距離を保つ → 敵に攻撃させる → 出た瞬間に撃つ → 怯ませて膝をつかせる → 内蔵攻撃 → 距離を取り直す → 反復よくある失敗#
| 失敗 | 結果 | 直し方 |
|---|---|---|
| 欲張って出しすぎる | 敵の連続攻撃を全部もらう | 二・三発で抜ける。攻撃後の硬直に留まらない |
| 被弾してすぐ飲む | ラリーの回収できる時間を無駄にする | 先に撃ち返す。橙色が消えてから回復を考える |
| スタミナを使い切る | 転がれず、囲い込まれて死ぬ | 出す前に転がれる余りがあるか毎回確認する |
| 銃パリィを稽古しない | 本作で最も得な処刑手段を諦める | ヤーンム市民から稽古し、ガスコイン神父を最後の試みにする |
| 銃を主力の火力にする | 弾は底をつき、威力も平凡 | 銃は崩す鍵。威力は近接と内蔵攻撃に託す |
| 後ろへ転がって距離を取る | 攻撃範囲内に残り、やはりもらう | 横の転がりで攻撃の死角に潜り込む |
結び#
Bloodborne の戦闘は三つの文章に圧縮できます。被弾後に失った体力は撃ち返して取り戻す。それがラリーです。敵が大きく振るう瞬間に引き金を引く。それが銃パリィです。攻撃の最中に L1 を押してもう一つの形態を引き出す。それが変形攻撃です。この三つはつながって、一つの設計意図を同じ所に指し示しています。ヤーンムでは攻撃そのものが最良の防御だ、ということです。
ソウルズ時代の盾の常識を捨て、被弾の一回一回を反撃の入口と捉えられるなら、あなたはもうヤーンムのほとんどのハンターよりその街を知っています。